2009年8月19日水曜日

失敗学のすすめ

失敗学のすすめ

畑村 洋太郎 著

講談社文庫


マジメな失敗学の本。以前、ガンダムを題材にした失敗学の本(ジオン軍の失敗(MyBlog/Amazon))を読んだが、ちゃんとした本も読まないといけないと思い、本書を読む(ジオン軍の失敗も決してふざけた内容ではなく、マジメに失敗を論じている)。

著者は元東大の先生で専門は機械工学だが、失敗について広範囲に分析することで、失敗を未然に防ぎ、新たな創造につながることを発見した。これを立花隆が「失敗学」と命名したらしい。

本書では、過去の大きな事件/事故や著者の実験での事故から、新たな技術や考えが生まれたことを示し、失敗は必要なことだと言っている。ただし、失敗には 「よい失敗」と「悪い失敗」があり、悪い失敗はなくすことを目標に行動するべきものだ。一方、よい失敗は、十分な準備をしていても防ぐことができない失敗を指しており、この失敗を詳細に分析することにより新たな技術などが創造される。

日本(企業や個人)は失敗を隠したがる性格があるらしい。アメリカは失敗した個人が責められることはなく失敗を公にしてそこから創造する文化がある。日本ではその文化がないために、革新的な技術が生まれにくい土壌のようだ(最近の大手企業は違うところも多いと思うが)。

著者は本書でおもしろい提案を2つしている。
1つ目が、失敗を会計に含めるものだ。あるリスクが起こったときの損失額とその発生率から導いた額を企業会計の含み損に加えるもの。これにより、事故発生率が高い企業は企業会計が悪化し、株価下落なども起きかねない状態になる。
2つ目が、失敗博物館だ。失敗情報の収集、発信、伝達や失敗実体験、コンサルティング、研究を行い、失敗を社会に文化として根付かせるための活動の拠点とするものだ。
2つともおもしろい考えで、特に2つ目は専門家や有識者がちょっとがんばればすぐにでもできそうな気がする。政府や自治体も無駄なハコ物とか作るお金があれば、こっちを優先してもらいたい。

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