2010年12月31日金曜日

2010年読書総括

今年の読書総括。1年間で全58冊と昨年の53冊からやや増えた。月別で見ると、2冊、3冊という月もあれば、最高で8冊、6冊も3回あり、月6冊くらいのペースで1年読めれば冊数はもっと行く計算になる。そうすると、書評書くのが辛いのとお財布が厳しくなるなぁ~。

58冊の内訳
  • IT技術書 12冊
  • IT読み物 17冊
  • 経営/経済 6冊
  • 仕事術 5冊
  • 小説 3冊
  • 英語 1冊
  • 雑誌 5冊
  • その他 9冊
昨年と比べて、IT読み物が増えた代わりに小説が激減。ほかに、経営や経済に関連するジャンルの本が増えたのが特徴。IT系は減らせないとしても、小説が少なすぎ。来年は、いろいろなジャンルの本を読んでみたい。

2010年12月29日水曜日

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

 グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

辻野 晃一郎 著

新潮社



元ソニーで、前グーグル日本法人社長、現アレックス株式会社CEOの辻野さんの書かれたご自身の半生。ソニーを変えたいと奮闘したがかなわず、グーグルに移籍。そこで、昔のソニーのような自由な雰囲気とイノベーションを感じ、そして、日本発とアメリカ発の世界企業に勤めた経験を元に自身で世界企業を作るべく創業とすばらしい人生を歩んでこられたのだと思う。

辻野さんのソニーでのキャリアは、研究所から始まり、戦略スタッフ、VAIOデスクトップ、テレビ(コクーン、スゴ録)、音楽(ウォークマン)と進んでこられて、これを見ただけではソニーの出世コースまっしぐらのように思える。事実、若くしてVAIOのトップになったりしたようだが、任される部門はいつも業績が悪いところばかり。しかも、うまくいったところで、プロジェクト中止や異動と思いどうりにならなかったようだ。それでも、ソニーを変えたいという思いだけで、次の仕事をして結果をだそうとしたところなど、見習いたい部分である。私が言うのもなんだが、辻野さんは世渡り上手なタイプではないらしい。しかし、ソニーはそういう人を受け入れ最高のパフォーマンスを出させる環境を作る会社のように思っていたが、本書を読むと最近のソニーはそうではないように見える。これも大企業病におかされているのだろうか。そういう意味では、グーグルは昔のソニーのような雰囲気で居心地の良い会社だったに違いない(ソニーもグーグルも自分が経験したことないが...)

辻野さんは、ソニーをお辞めになった後、グーグルに入社するまでの間、ハローワークに通ったという。ソニーの幹部からハローワーク、そしてグーグルとそのギャップに驚くばかり。ハローワークで隣の人が先月までソニーの幹部だったと聞いたら、さぞかしびっくりすることでしょう。

現在、辻野さんはアレックス株式会社を創業されたが、日本が生んだ世界企業のソニーとアメリカが生んだ世界企業のグーグルの両方に勤務した経験を元に、自分の理想を会社を作るのだと思う。今後、注目していきたい。

2010年12月21日火曜日

日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方

 日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方

山本 敏行 著

ソフトバンククリエイティブ



ECスタジオというIT企業の代表である著者による、社員が満足する会社の作り方、非常識な働き方について公開している本。「社員が満足する会社」と書いたが、この会社は2年連続で「日本一、社員満足度の高い会社」に認定された会社なのだ。この会社が他の会社とは違う根本は、利益や顧客第一ではなく、「社員第一」なところ。ここから、様々な制度やルールができ、ITを活用した効率的な経営を行っている。

このECスタジオはユニークな制度がたくさんあり、ここに目が行きがちだが、普通と違うのは何においても徹底的にやる(orやらない)ところだろう。業務の指示は記録が残るように隣の席でもスカイプチャット、顧客とは会わない/電話しない、何度も聞かれそうなことはビデオに録画して共有するなど、隅から隅までルール化してある。ここまでやると社内でしゃべらないので、フランクなコミュニケーションがないように感じるが、ランチトーク制度、バースデー制度などの制度で実際のコミュニケーションを増やし、バランスを取っているような気がする。

こだわりは、採用、経営、人材育成などにも随所に見られる。ウェブサイトを営業マンの代わりにし、24時間営業させるといった考え方や無駄なコストは徹底的に削減し、将来のためのコストは惜しみなく使うところなど、当たり前といえばそうだが、ここまでやっている会社はなかなかないのではないか。

社名がECだけに1(E)と4(C)という数字に強いこだわりをもっているのも、おもしろい。資本金1414万円、記念日1月4日、新サービスは毎月14日14時リリース、売上14億まで、社員数40名まで、しないこと14ヶ条、などなど。ちなみに本書の価格も1400円だ。

制度を真似するだけでは社員満足度が上がるかわからないが、方針、考えを参考にすれば、社員満足度が上がるかもしれない。中小企業はECスタジオをお手本に経営改革すると、日本も変わってくるかもしれないな。

2010年12月17日金曜日

図で考えるとすべてまとまる

 図で考えるとすべてまとまる

村井 瑞枝 著

クロスメディア・パブリッシング



戦略プロデューサの村井瑞枝さんのコンサルタント時代に身につけた図で表現することの素晴らしさを伝えている本。著者の村井さんは、調理、アートを勉強したのち、コンサルタントとして活躍され、現在はレストラングループで戦略プロデューサとユニークな経歴の持ち主。

冒頭、資料を作成する際、どのように表現するか?と問いかけがある。通常は文字、さらに突っ込んで数字を使う人がほとんどだ。しかし、図にすると一瞬で相手が理解できたり、自分の考えを整理できたり、良い事ずくめだという。私も図の力は分かっているつもりだが、どうも絵心がないので、躊躇したり、うまく書けなかったりした。しかし、本書では、絵のうまい/へたは関係ないと言っている。それもそのはず、村井さんが紹介する図は、どれも簡単に描けるものばかりだからだ。

以下にその基本の図7パターンを紹介する。
  • 因数分解(モノゴトを分解して考える)
  • マトリックス(モノゴトを分類して考える)
  • 表(頭を整理する)
  • 比較(比べることで良いものを際立たせる)
  • 線表(時間を可視化する)
  • コンセプト(アイデアをシンプルに伝える)
  • プロセス(モノゴトの流れを捉える)

実際の図は、本書を読んでもらうとするが、どれも四角、三角、円、直線を組み合わせただけの簡単なものだ。これらの図を習得するのは簡単だが、どの場面で使うかがその人のセンスに関わってくると思う。ソフトウェアのアルゴリズムも、数学の理論も、同じで知っているだけではダメで、どう使うがポイントになるだろう。

図を描くのは今の時代パソコンで描くのは当たり前だが、著者は以下3つの手書きの良さも紹介している。
  • アイデアが浮かぶ
  • 簡単に直せる
  • 人を巻き込む

特になるほどと思ったのが、3番目の「人を巻き込む」だ。手書きだと、図が途中という印象を相手が受けて、一緒に完成させようといろいろな意見を出してもらえることが多いそうだ。確かにキレイにパソコンで描かれていると完成版のような印象を受けてしまう。

その他、図だけに限らず資料の作成の方法も書かれている。図はある程度の構想が決まるまでは手書きとして、パソコンでの作業は清書とするのが良いとしている。これは「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン」でも紹介されている方法だ。図以外では、フォント、色、タイトルのつけ方、文章の書き方などについても言及されている。

2010年12月14日火曜日

「朝がつらい」がなくなる本

「朝がつらい」がなくなる本―ぐっすり眠る、すっきり起きる習慣術

梶村 尚史 著

三笠書房



睡眠医の著者による、夜ぐっすり眠ることと、朝すっきり起きることについて書かれた本。まず最初の驚いたのは、「早起きするために早く寝る」のは無理なことで「ぐっすり眠るために早起きすること」に発想を変えなければならないことだ。この早起きするためのテクニックやぐっすり眠るためのテクニックが理論と共に本書には満載だ。

本書で紹介されているテクニックのうち、私が気を付けた方がいいものをあげておく(備忘録)
眠るための気を付けること
  • 寝る直前までのパソコン(なかなかやめられそうにない)
  • 軽めの運動(やってみる価値あり)
  • 睡眠を確保するために何かを諦める(睡眠を削ってまで趣味をいろいろやっているわけではないが...)

起きるための気をつけること
  • 目覚めの体操(布団の中でできるので、お手軽)
  • 朝の楽しみを作る(何かあるかなぁ~?)

本書の最後に睡眠タイプ判定シートなるものがあるが、私は体内時計がややずれているのではないかと思う。修正するのは大変らしいが、がんばって朝型にしていかないと...

2010年12月12日日曜日

食える数学

 食える数学

神永 正博 著

ディスカヴァー・トゥエンティワン



数学を勉強して何になるの?という疑問に答えている本。ちょっと違うかもしれないが...。自分は、高校まで数学大好き人間だったが、大学の数学ですっかり挫折した。大学は情報系だったが、理論ではなく、ソフトウェアの実践系のゼミだったので、数学ができなくても困ることはなく過ごした。

本書では、数学はどのようなシーンで使われているかの具体例やどのように専門家ではない人が数学とつきあうかが書かれている。

本書にも書かれているが、数学の理論や公式、証明ができても、現実の世界で応用ができなければ何の役にも立たない。数学の知識を現実の世界に適用させるのが専門家の腕の見せ所だ。

まぁ、数学というと拒否反応を示す人も多いかもしれないが、数学にもいろんな分野もあるし、生活に密着したようなものもあるので、自分の興味のある分野を見つけられれば、大人のたしなみとしておもしろいのではないかと思う。

2010年12月11日土曜日

ケータイ変更

今日、それまでのN906iμから新しいケータイに機種変更した。新しいケータイは、サムスン製AndroidケータイのGalaxy S。前からAndroidが欲しいと思って、よさそうな端末が出るのを待っていたのだ。

10月末の発売日から数日後に家から歩いて30秒のドコモショップへ。品切れだったので、予約をした(入荷予定は1ヶ月後)。1ヶ月とちょっと経ったところで入荷連絡。そして、今日機種変。長い1ヶ月だった。

まだ、Wi-Fiの設定とか、Googleアカウントの設定とか、いくつかの初期設定をやっただけ。アプリはこれから入れるんだが、何がいいのだろう。詳しい方、教えて下さい。

2010年12月1日水曜日

大規模サービス技術入門


[Web開発者のための]大規模サービス技術入門 ―データ構造、メモリ、OS、DB、サーバ/インフラ

伊藤 直也、田中 慎司 著

技術評論社


はてなの伊藤さん(現在はグリーへ転職)と田中さんが書かれた大規模なWebシステムに関わる要素技術、システム構成、アプリケーションの作り方などを解説した本。

はてなで毎年夏に行われているインターンシップの講義を元にしたものということなので、順を追って非常に分かりやすい構成/内容になっている。まず、大規模とは何か、どのようなことが起こるのかから入り、OS/メモリ/ディスクなどインフラ話、続いてDBのスケールアウト、そしてアプリケーションを作る上での勘所と進んでいく。アプリケーションの部分では圧縮や全文検索エンジンを題材に課題もあって、なかなかおもしろい構成。全体的にはてなの実例を出していることも良い。

後ろ1/3程度は、サーバ/インフラの話がメインで、スケーラビリティ、冗長性、ハードの効率化、最近のシステムに必要な要素技術がまとめられている。

印象に残っているのが、アルゴリズムについての章で、理論と実践の両方が必要という部分だった。失礼ながら、はてなのような会社では実践第一主義みたいなところじゃないかと勝手に思っていたわけだが、本書にはアルゴリズム(古典的なものも含めて)を重要視している旨が書かれている。エンジニアとしての共通言語とまで言っている。もちろん、アルゴリズムを知っているからと言って、今かかえている問題に適用できるとは限らないし、適用できることを気が付かないかもしれない。しかし、知らなければ絶対に自分で考え出して作れる訳ではないので、やはりエンジニアの基本として知っていなければならないと思う。私の会社(部署)ではアルゴリズムについて軽視されているように思えるのがちょっと悲しい。

本書のような日本のトップのWebサービス企業のトップエンジニアが学生のために作成した講義を公開するのはなかなか良い試みだと思う。他の会社でも自社の強みを生かしてこのような本を出版することで、日本のITレベルの底上げができるのはと考える。