2010年10月30日土曜日

デザイニング・ウェブインターフェース

 デザイニング・ウェブインターフェース ―リッチなウェブアプリケーションを実現する原則とパターン

Bill Scott、Theresa Neil 著
浅野 紀予 監訳、高橋 信夫 訳

オライリージャパン


ウェブのデザイン(特に)リッチなインタラクションに見せるためのパターンやベストプラクティスをまとめた本。本書に出てくる例は、すべて実在のウェブサイトで、Yahoo、Flickr、Google、Netflixなどがある。例示されているのは、良い例だけでなく、悪い例やあと1歩改善すればよりよくなるといったものもある。

さらに本書の特徴として、パターンを紹介しているため、実装については一切書かれていない。本書に書かれている内容は、主にJavascript(Ajax)で実装することになると思うが、一行たりともコードはない。よって、エンジニアやデザイナーだけでなく、マーケティング担当者、プロデューサ、管理者にもオススメだ。

本書は、大きく6つの原則に分かれており、それぞれの原則にいくつかのパターンが含まれている。以下、簡単に紹介する。

原則1:直接的なインターフェースを作ろう
・ページ内編集
・ドラッグアンドドロップ
・オブジェクトの直接操作
原則2:軽快さを心がけよう
・コンテキスト連動型ツール
原則3:1ページで簡潔させよう
・オーバーレイ
・インレイ
・プロセスフロー
原則4:インビテーションを仕掛けよう
・アクション喚起型
・白紙型
・ロールオーバー型
・ドラッグアンドドロップ型
・「もっと見る」型
原則5:トランジションを利用しよう
・明度/濃度の増減
・展開/折りたたみ
・スライドイン/スライドアウト
・スポットライト
・ライトボックス効果
・アコーディオン
・カルーセル
原則6:すばやく反応しよう
・オートコンプリート
・ライブサジェスト
・ライブサーチ
・ライブプレビュー
・絞込み検索
・進行状況表示
・自動リロード

本書は、「徹底したパターン分け」と「しつこいほどに多い実例」で、ありとあらゆるユーザインターフェースの解説がされていることが大きな特徴だ。

2010年10月27日水曜日

クラウドの衝撃

クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった

城田 真琴 著

東洋経済新報社



クラウド・コンピューティングについて分かりやすく解説している本。クラウドの定義から始まり、仕組み、クラウドでのキープレーヤーとなる企業の動向、クラウドが及ぼす影響などが書かれている。

クラウドの定義、分類は非常に分かりやすい。この前に読んだ「クラウドを実現する技術」ともかぶるところは多いが、本書の方が分かりやすいと感じた。

各社の動向としては、クラウド・ネイティブな企業とクラウド・イミグランドな企業と分けて解説している。前者はグーグル、アマゾン、セールスフォースドットコム、後者はマイクロソフト、IBM、オラクル、AT&Tだ。特定の企業の戦略を解説されてもと思うかもしれないが、クラウドのキープレーヤーとしてはこれらの企業で十分だろう。しいて言えば、日本のいくつかの企業の取り組みを書いても良かったかもしれない。

「クラウド・コンピューティング時代の企業IT戦略」という章が興味深かった。ここには、コンサルタントのジェフリー・ムーア氏の考えが紹介されている。まず、コア/コンテクスト分析。「コア業務へ資源を集中し、それ以外のコンテクストはアウトソースするべき」といっている。また、ミッション・クリティカル/非ミッション・クリティカル分析というものもある。こちらは「万一停止した場合、深刻なリスクになる業務をミッション・クリティカル、それ以外を非ミッション・クリティカル」と呼んでいる。この2の分析を掛け算した2x2のマトリクスを考える。

  • コンテクスト/非ミッションクリティカル:他社との差別化につながらず、重要度も低いため、SaaSの利用が有効
  • コンテクスト/ミッションクリティカル:SaaSの対象となるが、SLAには注意が必要
  • コア/非ミッション・クリティカル:研究プロジェクトや実験的試行など将来的に競争優位を生み出す可能性もあるが、成果を出せない可能性もある。ここもクラウド、特にPasSやHaaSの利用を検討
  • コア/ミッション・クリティカル:ここは最も重要度が高いため、自社リソースを投入して開発を行うべき

課題は、まだいろいろあると思うが、企業活動の多くにクラウドを活用し、効率化することで、自社の強みを強調する戦略を取れることがわかる。いち早くこのような考えを理解し、実践することがこれからの時代に生き残れるかの分かれ目になるだろう。

また、クラウドが普及することにより、ソフト/ハード/ネットワーク機器のベンダー、SIer、レンタルサーバ事業者、データセンター、PCなどあらゆるものが変化していく。私の会社はいわゆるSIerなどので、SIerがどのように変わるか興味がある。先ほどの2x2のマトリクスでいうところの、コア/ミッションクリティカル以外は、クラウドに置き換わるため、サーバやミドルウェアを含めたSIは必要ない。よって、コア/ミッション・クリティカルな部分のみとなるため、案件は確実に減る。また、中堅以下のSIerは、増加するSaaS上でのアプリケーション開発やカスタマイズを行なうことになるだろう。気を付けないと、時代に取り残されて仕事がないという状態になりかねないな。

この前に読んだクラウドを実現する技術とは違って、クラウドによって何がどう変わるか?課題は何か?これから必要なことは何か?など、クラウドに関わる人すべてに知っておいてもらいたいことが書かれている。クラウドに関わる人は(関わらなくても)一度は読んでおくのをオススメする。

2010年10月24日日曜日

クラウドを実現する技術

 クラウドを実現する技術

米持 幸寿 著

インプレスジャパン



クラウドを構築する際に必要な技術的な基礎知識を整理した本。クラウドにも、いくつかの軸でいろいろな種類や製品、ツールがあるが、タイトル通りクラウドの技術について一通り網羅されている。

本書ではまず、クラウドを分類し、それぞれで代表的なサービスを紹介している。この後、メインの各技術の紹介。最後をクラウドの課題を述べている。メインのクラウドの技術だが、ここはネットワーク、仮想化、分散コンピューティング、Webブラウザの進化、Webサービスなど多岐に渡る。

本書は、若いエンジニアや一通りの技術について知る必要のあるリーダクラス、もしくはクラウドはまだあまりよく知らないマネージャなどにオススメだ。ただし、本書は多くの技術を網羅しているが、本書だけでは概要レベルの知識のみしか手に入らない。興味のある分野や必要な技術については、専門書で勉強の必要がある。特に若いエンジニアの人は、本書を足がかりに自分の得意分野を見つけて欲しい。

最後に。著者の米持さんはIBMの人だからしょうがないかもしれないが、あまりメジャーではないIBMのサービスなども詳しく紹介されていてちょっと違和感あり。

EVERNOTE「超」仕事術

EVERNOTE「超」仕事術

倉下 忠憲 著

シーアンドアール研究所



Evernoteのいろいろな使い方を提案してくれる本。1冊くらいはEvernote本を読もうかなと思いつつ、買う気にはならないと感じていたところにちょうどEvernoteのイベントで本書を頂いた。

Evernoteは、メモを取るツールであるので、何を記録するか、どのように記録するかはユーザの自由だ。Evernoteはユーザがいかなる使い方もできるように自由度を高くしている。だからこそ、ファンが多くいろんな使い方が提案されている。その一方、どのように使えば良いか分からない人もたくさんいるのではないかと思う。本書は、そういう初心者の方のためにあると言っていいだろう。

基本的なノートブック、タグの使い方や検索の方法、GTD(Getting Things Done)を使ったタスク管理や43Foldersを使ったリマインダなどの応用が書かれている。

ほぼ、全編に渡って知っていることだったが、唯一興味を持ったのが、共有ノートブック。他の人とノートブックを共有できることはなんとなく知っていたが、使い方などは本書で初めて知った。招待した人も更新できるノートブックはプレミアムユーザじゃないと作成できないとは...。Evernoteもなかなかうまい切り分け方をするな。

Evernoteを普通に使っている人には不要な本である可能性が高い。使い方がわからず困っている人はまず本書を読んでみるべきだと思う。

2010年10月13日水曜日

ウェブで学ぶ

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命

梅田望夫、飯吉透 著

筑摩書房



IT系の経営コンサルティング会社を設立して多数の著書でIT系に影響力を持つ梅田望夫さんと教育やオープンエデュケーションの専門家の飯吉透さんのオープンエデュケーションに関する対談本。1章2章で、それぞれが「ウェブ進化とオープンエデュケーション」「オープンエデュケーションの現在」について書いている。それ以降は、お二人の対談形式で進む。

読んだ感想を一言で言うならば、「もっと若ければWebで多くの勉強をして、違った人生を歩めたかもしれないなぁ」。もちろん、30台後半になった今でも勉強はできるし、それなりにしているつもり。しかし、若いときにこの環境があれば状況はまったく違ったと思う。それほど、今はオープンテクノロジ、オープンコンテンツ、オープンナレッジで一昔と様相が変わっている。今大学生くらいで、Web(オープンエデュケーション)を使って勉強した若者が社会の中心になるときは、今にも増してトンデモナイ技術が生まれるような気がする。

梅田さんは、以前の著書「ウェブ進化論」で、Webにより「知の高速道路」ができたと書かれている。今のオープンエデュケーションによりその高速道路は、どのくらいスピードが出せるのだろうか? 勉強したいという意欲さえあれば、いくらでもスピードは出せ、またいくつもの分野においても知識を得ることができるだろう。勉強したい人とそうではない人の差が格段に広がっていくようにもなると思う。

オープンエデュケーションのコンテンツは英語で書かれているものが多いのだろうが、日本産のコンテンツの充実はもっと必要だし、急速に増えていくだろう。加えて、海外の最新のコンテンツで勉強するために、英語を勉強することから、日本のグローバル化も今以上に急速に進むような気がする。

自分も若い人に負けずと勉強するとするか...

2010年10月12日火曜日

あから2010、清水市代女流王将に勝利

10/11にコンピュータ将棋ソフトのあから2010と清水市代女流王将の対局が東大本郷キャンパスで行われ、あから2010が勝利した。

まずは、この対局の経緯から。
4/2に情報処理学会がコンピュータ将棋でトッププロとの公開対局を望むという挑戦状を送付した。その挑戦に対し、日本将棋連盟は「いい度胸だ」とまさかの承諾。日本将棋連盟は、女流棋士トップの清水市代女流王将を立てた。挑戦状とその返答はこちらを参照

そして、10/7対局の詳細が発表。情報処理学会側は、Intel Xeon(4コア)のマシン169台(676コア)のクラスタマシンを用意。ソフトは、最強クラスの「Bonanza」「激指」「GPS将棋」「YSS」の4つのプログラムの合議制で指し手を決めるというもの。10の224乗を意味する「阿伽羅」から「あから2010」と名付けられた。もう少し詳細なあから2010のスペックや清水女流王将のプロフィールがこちらを参照

で、10/11。清水女流王将は、あから2010に攻め込まれて持ち時間がなくなるという展開で、86手で投了。あから2010の勝利となった。私は、将棋より囲碁の方が好きだが、コンピュータ囲碁ソフトはプロに挑戦できるほど進んでいないと思う。とはいえ、トッププロにコンピュータが勝利するという歴史的な一戦だったのではないかろうか。さて、次は誰と対局するのだろうか?

対局とは関係ないが、この一戦は中継されるはずだったが、当日になって女流棋士ファン倶楽部の会員のみ視聴可能になったらしい。日本将棋連盟主導での中継だったのかもしれないが、情報処理学会ももっと協力して、広く多くの人に見てもらえる環境を作ったほうが、将棋ファン拡大にはなったのではないかと思う。

2010年10月11日月曜日

インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説

インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説

監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード、ケイト・キャプショー、ジョナサン・キー・クァン

1984年






インディ・ジョーンズシリーズ第2作目(?)の作品。舞台はインドで、神の石と言われる石を取り返す話。何度も見たことあるはずだけど、毎回楽しめる良い作品だと思う(内容を忘れていて毎回新鮮な気分で見ているわけではない)。

洞窟内で大きな岩が後ろから迫ってくる映像があるかと思っていたら、それは「失われたアーク」の方だった模様。本作は、トロッコでのチェイスが1つの見ものだったんでしょうね。

そのトロッコのシーンも含めてあり得ない映像満載なのは、インディ・ジョーンズシリーズってことで良しとするか。

2010年10月10日日曜日

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

監督:ロブ・コーエン
出演:ブレンダン・フレイザー、ジェット・リー、マリア・ベロ、ジョン・ハナ

2008年







舞台はエジプトで、ミイラが蘇る話のハムナプトラの3作目。前2作とは違って、舞台は中国。ミイラが蘇るところは同じ。

話の流れは個々人の役割は基本的には同じ。しかし、今作で違うところは、2つ。1つ目は主人公の息子が大学生になっている(1作目は生まれる前、2作目は小学生だった)。2つ目はエブリン役を私のお気に入り女優の1人レイチェル・ワイズではなくなっているところ。

息子が大学生になっているのに、主人公リックはブレンダン・フレイザーそのままで妻エブリンだけが年取った感じは違和感あるなぁ~。レイチェルが演じてたら、大学生の息子がいる母親にはなってないような気がするが...

リン役のイザベラ・リョンがかわいいね。中国人とポルトガル人のハーフで、女優以外にも歌手もやっているらしい。

2010年10月3日日曜日

Evernoteイベント「創造力を刺激する!音楽×ミステリー×Evernote」

9/29にスタジアムプレイス青山で行われた「創造力を刺激する!音楽×ミステリー×Evernote」というEvernoteのイベントに行ってきた。


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19時から開始だったが、仕事で遅れたので、19:30くらいに入場。Evernote CEOのPhil Libinのプレゼンの途中だった。最近6ヶ月でのモバイルでのユーザ利用の変化のスライドでは、Windows Mobileが-32%、Palm WebOSが-9%、BlackBerryが+44%、Apple iOSが+126%となっている。iOSが2倍以上になっていてさすがと思った。しかし次の行は、Androidが+613%と7倍以上と素晴らしい伸びを見せているようだ。

その後、メインゲストの2人が登壇。1人目はミステリー少女漫画家の野間美由紀さん、2人目はミュージシャンの倉園佳三さん。このお二人対象的なEvernoteの使い方でなかなかおもしろかった。野間さんは、漫画のネタがEvernoteには入れない。これは以外だった。Evernoteに入れないと忘れてしまうようなネタは実際には使えないらしい。その代わり、iPhoneなどのFAQやグルメ情報など人が作った情報を入れておく。一方、倉園さんは歌詞やメロディーの断片を片っ端からEvernoteに入れるとのこと。後で取捨選択する時間を取るのが特徴だと思う。倉園さんの「何でもデジタル化することは、デジタル化できないものを探すための作業」のような言葉が印象的だった。

後半は、軽食と飲み物を摂りながら各パートナー企業さんからのプレゼントを賭けたジャンケン大会。結局何もGetできなかったけど、Eye-FiとかabrAsusのIDケースが欲しかった。下は、参加者全員がもらえるお土産を広げた写真。

・ベッキーの顔写真が描かれたうちわ
・ウバ紅茶
・Evernote「超」仕事術
・タイのビール
・Evernoteのステッカー、携帯クリーナー


今回のイベントの司会を努められたLifeHacking.jpの堀さんが最後に、モレ本を持っている人でお土産の本がモレ本だったら、違う紙袋を取り直すように言っていたが、正に同じ現象が...。紙袋もらったらモレ本が見えたので、すぐスタッフの女性に「代えてください」とお願いして上記をGetした。ちょっと、怪訝そうな顔をされてしまった。