2009年12月20日日曜日

エンタープライズRails

エンタープライズ Rails ―企業ユーザのためのWebアプリケーション設計術

Dan Chak 著
高井 直人 監修、笹井 崇司 訳

オライリージャパン

前に読んだRuby on Rails入門がまさしくRailsの紹介から使い方などの入門書に対して、この本はエンタープライズなアプリケーションをどのように設計して構築すればよいかが書かれている。タイトルには「Rails」が入っているが、これはサンプルがRailsで書かれているだけで、どの言語でも適用できる話が多い。一部において、Rails特有の設計やサンプルとなっているのはしょうがない。

内容は、DB、SOA(XML-RPC、REST)、キャッシュなどの設計について、リファクタリングしながら少しずつ拡張していく過程を解説とサンプルで紹介している。ほとんどすべてのサンプルについて、Railsのユニットテスト、インテグレーションテストのコードも書かれているので、より実践的になっている。タイトル通り常にエンタープライズ(企業向け、もしくは大規模サイト向け)を想定して書かれているため、RESTの例でもちょっとしたサンプルを示してどんなものかを紹介するのではなく、順を追ってエンタープライズ向けのアプリケーションを書くための説明になっているのがすばらしい。ただし、サンプルコードが長すぎて分かりにくかったり、私のようなRails初心者(Rubyも初心者)が完全に理解するには難しい部分もある。

エンタープライズ領域の開発をするのに一番重要なことは、「最初」からエンタープライズシステムだということを意識して、データの完全性やパフォーマンス、スケーリングを考えて設計することが肝要だ。途中からエンタープライズに適用することは難しい(無理?)だと思った方が良いだろう。趣味でRailsを使っている人でなく、仕事でRailsを使っている人、特に大規模システム開発をやろうとしている人はぜひ読むべきだと思う。

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