プログラマの「本懐」 ~アーキテクトという選択
山本啓二 著
日経BP出版センター
一見すると何について書かれた本かわからないが、本書はアーキテクトというIT関連の新しい役割について書かれている。アーキテクトとは、プログラマとも、システムエンジニアとも、プロジェクトマネージャ、インフラエンジニアとも違う日本ではあまり聞きなれない職種で、プロジェクトの上流工程からエンジニアとして参画し、アーキテクチャの設計、システム構築のの基本方針の策定、設計/コードのレビュー、テスト方針の策定、プログラマの教育、フレームワークの構築、テスト環境の構築など多岐に渡って高度な技術力を元に活躍する職種だ。日本ではあまり聞きなれないと言ったが、最近では明確にキャリアパス上にある会社も多くなったと思う。また、海外では結構普通に聞かれるようだ。
日本では、プログラマとして活躍した人もある程度の年齢になるとプロジェクトマネージャなど管理者としてキャリアを構築することが多い(選択肢がこれしかない?)。しかし、今までの技術力を生かした職種とは言えないので、そのままプログラマとして仕事をする人もいるのだと思う。そこで、プログラマからのステップアップとして注目されているのがアーキテクトだ。技術力を生かして、プロジェクトの技術主任もしくは主任設計者としてプロジェクトマネージャとは違った視点で活動するのだ。技術大好きなプログラマはアーキテクトを目指して欲しいとの著者のメッセージは、「プログラマの本懐」というタイトルになっているのだと思う。
本書で述べられているのは、ある意味当たり前のアーキテクト像だが、各工程ごとによくありそうなプロジェクトの題材にアーキテクトが何をすれば良いか、どのような考え方が必要かを述べているのが分かりやすい。高度で広範囲な技術力、広い視野、チームメンバの特性の把握、コミュニケーション能力などいろいろなスキルを求められるが、おもしろい職種だと思う。
私は、プログラマから卒業してSEもしくはプロジェクト管理をやっているが、本来はもっと技術力を生かせる仕事を求めている。まさにアーキテクトはうってつけだと思うが、今の現状ではアーキテクトは不要かもしれないし、上司もアーキテクトをちゃんと理解していないような気がする。う~ん、こんな本を読んでしまうとアーキテクトになりたいと思うし、なるために転職も考えたほうが良いのかもと思わされる。
2010年5月29日土曜日
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