2010年6月23日水曜日

電子書籍の衝撃

電子書籍の衝撃

佐々木 俊尚 著

ディスカヴァー・トゥエンティワン



iPadが日本でも発売され、一気に電子書籍(電子ブック)が注目を浴びるようになったが、その電子書籍に関する現在と未来について書かれた本。音楽業界がiPodとiTunesで様変わりしたように、今度は出版業界がターゲットになっている。すでに変革を体験した音楽と例に取り(ページを割きすぎのような気もするが)、出版の今後の動きを予見している。

初めに電子書籍の生態系を作るための4つのピースが提示されている。

第一に、電子ブックを読むのに適した機器(デバイス)が普及してくること。
第二に、本を購入し、読むための最適化されたプラットフォームが出現してくること。
第三に、有名作家か無名のアマチュアかという属性がはぎとられ、本がフラット化していくこと。
第四に、電子ブックと著者が素晴らしい出会いの機会をもたらす新しいマッチングモデルが構築されてくること。

1番目のデバイスは、AmazonのKindleに始まり、ソニーリーダー、Barnes & NobleのNookに加えて、AppleのiPadが加わり、普及しつつあると言って良いだろう。しかも、今日KindleやNookが大幅値下げしたとのニュースもあった。

2番目のプラットフォームについては、やはりAmazonがすぐれている。Kindleだけでなく、PCでもiPhoneでも続きが読めるし、本は30秒ですぐ購入できる。iPadのiBookもこのようなプラットフォームになるんだろう。

3番目のフラット化。音楽がアルバム単位ではなくバラバラにされて1曲単位で購入できるようになった今、本も内容以外の周りにある属性はなくなっていくと著者は言っている。「有名作家」「今話題の本」「売れている」「有名人がオビを書いている」なんていうものがなくなり、セルフパブリッシングも大御所の書いた本も変わらなくなるとのことだ。とはいえ、音楽と本は違いもあるので、完全にすべてがフラットになるかと言えばそうではないとは思う。

4番目のマッチングモデルについては、SNSやTwitterに代表されるソーシャルなサービスで情報収集をしている人が増えている通り、自分に影響を与えてくれるレビューア(インフルエンサー)によって、本が口コミで紹介されていくと言う。確かに、自分も何人かの書評をもとに本を買うことが多いので、間違いではなさそう。これがもっと、進んでくるのだと思う。

と、このように4つのピースで電子書籍の円環ができ、「刺激的な未来がやってくる」はずだ。

しかしながら、世界的には(もしくはアメリカでは)この考えの通りに進むだろう(既に進んでいる?)が、日本ではどうなのだろうか?Kindleでは英語の本しか買えないし、iBookもまだ動きはない。紙の本では独特の流通や制度があり、一気に電子化に進むとは思えない。ここをAmazonやAppleはどう進めるのか? また、ソニー、KDDI、凸版、朝日の連合はどのような動きをするか注目したい。

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